通常のダコワーズとは違い、生地とバタークリームのくちどけのバランスを極限まで追及したケーキのレシピをご紹介いたします。ポイントは「メレンゲと砂糖の関係性」。安定したメレンゲ作りをサポートする素材と共に、さっくり軽く口溶けなめらかなダコワーズを使用したミゼラブルのレシピをご紹介いたします。
この記事を読むと分かること
- メレンゲと砂糖の相関性
- 安定したメレンゲ作りをサポートする機能性素材のご紹介
- 生地とバタークリームのくちどけバランスを極限まで追求したミゼラブルのレシピ
目次
生地の食感コントロールに重要な”メレンゲ”
今回ミゼラブルに使用する生地『ダコワーズ』は、メレンゲにアーモンドパウダーを加えた生地で、奥深いコクと香ばしさ、口の中でとける柔らかさが特徴です。ダコワーズを作るうえで欠かせないのがメレンゲ作りです。卵白と砂糖というシンプルな原材料で作るメレンゲは、とてもデリケート。器具に水分、油分はついていないか。卵黄とはしっかり分離できているか。新鮮な卵白を使用しているか。砂糖を加える量とタイミングは適切か。などなど、気を付けることが多い素材です。
メレンゲの粘度やキメの細やかさは生地の食感にも影響するので、安定したメレンゲを作ることがポイントになります。
メレンゲと砂糖の相関性
安定したメレンゲを作るコツとして、砂糖の量を増やすことが挙げられます。砂糖の量が多いほど卵白の粘り気が増して気泡が壊れにくくなり、メレンゲが安定するためです。
ただし、砂糖が多ければ良いというわけではありません。
砂糖が多くなると甘さが強くなってしまうだけではなく、一度に加えすぎてしまうとうまく空気を抱くことができません。また、メレンゲの粘度も上がるので、生地にした際に火抜けが悪くなったり、ネチっとした食感になりやすくなってしまいます。
卵の気泡を保護する『パティシエイド』を上手に使うことで、砂糖が少なくてもメレンゲに安定感を付与することができます。砂糖の量を減らすことで、よりさっくり軽い食感のダコワーズをお作り頂けます。
卵の気泡を保護する機能性素材『パティシエイド』のご紹介
パティシエイドは、卵の気泡を保護してケーキ生地の安定性を高め、ボリューム維持や歩留まり向上に貢献する機能性素材です。こだわりの品質はそのままに、ジェノワーズやジョコンドなどのケーキ生地の安定性を向上します。
パティシエイドを添加することでメレンゲの気泡を保護し、消泡による離水を抑制します。
メレンゲの安定性が向上することで、生地のボリュームが維持され歩留まりの向上につながります。
また、きめ細かい気泡の合一を抑制することで、ムチッとせずにさっくり軽い食感の生地を作ることができます。
カフェミゼラブルのレシピ
ダコワーズとバタークリームの口溶けのバランスを追求したケーキ。さっくり軽く口溶けるダコワーズを是非お試しください。
材料(カフェミゼラブル1組(130×120mm 6台)分) | ||
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A:ダコワーズ | g | |
① | 卵白 | 570 |
① | グラニュー糖 | 190 |
① | パティシエイド | 17 |
② | ヘーゼルナッツパウダー | 475 |
② | 粉糖 | 285 |
B:粉糖 |
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C:バタークリーム | g | |
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① | ハローデックス ※ | 130 |
① | 乾燥卵白 | 6 |
① | 水 | 6 |
② | ルミナスレグノ | 145 |
② | バター | 145 |
③ | 粉糖 | 65 |
D:ムースリーヌカフェ | g | |
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① | C:バタークリーム | 490 |
② | こだわりたまごのカスタード | 195 |
② | マスカルポーネチーズ | 145 |
② | 濃縮コーヒーエキス | 20 |
② | 牛乳 | 50 |
E:ヘーゼルナッツカラメリゼ | g | |
---|---|---|
① | グラニュー糖 | 150 |
① | 水 | 50 |
② | 皮無しヘーゼルナッツホール(ロースト) | 300 |
③ | ルミナスレグノ | 30 |
F:トッピング |
---|
E:ヘーゼルナッツカラメリゼ |
チョコレート |
青字の製品は月島食品グループの製品です。
※…ナガセヴィータ株式会社
工程
A:ダコワーズ
- ①にてしっかりとしたメレンゲを作ります。
- 混合した②をさっくり加えます。
- 8取り天板に500gのばします。
- 粉糖(分量外)を2回ふりかけ、焼成します。
焼成条件例
上火200℃/下火180℃ 15分前後(下天板あり)
C:バタークリーム
- ①を混合し、湯煎で40℃前後に温め、撹拌します。
比重 0.44前後 - 調温した②を加え撹拌します。
- ③を加えます。
最終比重 0.57前後
D:ムースリーヌカフェ
- ①に混合した②を2回に分け、加えます。
最終比重 0.65前後
E:ヘーゼルナッツカラメリゼ
- ①を火にかけ、118℃まで煮詰めます。
- ②を加えて混合し、全体をコーティングします。
- ヘーゼルナッツがシャったら(ナッツの表面の糖が再結晶したら)再度火にかけ、 カラメリゼします。
- 全体がカラメリゼしたら、③を加えます。
- 天板に広げ、冷まします。
※ホールで使うものはくっつかないようにします。 - 冷却後、刻みます。
構成
- ダコワーズにムースリーヌカフェを350g 塗ります。
- ヘーゼルナッツカラメリゼを150g散らします。
- ダコワーズを重ねます。
- 1.〜3.を繰り返します。
- ムースリーヌカフェを180g塗り、冷やし固めます。
- 130㎜×120㎜にカットします。
(1組から6台分取れます。) - トッピングを飾り、仕上げます。
作り方のポイント
〈ダコワーズ〉
- 粉類を合わせる時は、生地を底から持ち上げるように混ぜ合わせるとさっくりと混ぜ合わせることができます。
〈ムースリーヌカフェ〉
- 全材料を20℃位に調温することで乳化が安定し、なめらかに作ることができます。
〈カラメリゼ〉
- 煮詰めたシロップにヘーゼルナッツを加え、しっかりと混ぜ合わせることできれいに全体をコーティングできます。
〈仕上げ〉
- 模様をつける時は三角コームを使用することで簡単につけることができます。
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ミゼラブルとは
バタークリームをダコワーズやアーモンドスポンジ(ビスキュイジョコンド)で挟んだシンプルな見た目のケーキです。フランス語で「悲惨な」「哀れな」「惨めな」という意味のミゼラブル。なぜこのような名前なのでしょうか。
昔、庶民には乳製品が高かった時代にバタークリームに使うカスタードを水と卵黄で作っていたことが由来とされています。今ではいろんな味付けをしたアレンジレシピなどもあり、定番のケーキとして親しまれているケーキです。
ダコワーズとは?ダックワーズとの違いは?
フランス南西部のダックス地方が発祥の『ダコワーズ』ですが、日本で耳馴染みのある名前は『ダックワーズ』ではないでしょうか?
ダコワーズは、もともとはホールケーキの土台として使用されることが多く、今でもさまざまなケーキの土台にアレンジされています。これをフランスに在住していた日本人パティシエが小判型にアレンジし、日本人が発音しやすい名前で発売したのが、日本の『ダックワーズ』です。和菓子の”最中”からインスピレーションを受け、このような形になったと言われています。形や呼び名が異なる、似て非なるお菓子なのですね。